資金運用表と資金移動表の利用
資金運用表とは
資金運用表で、年単位の資金の動きを把握することができますので、調達と運用が正しく行われているか、判断する材料になります。
運 用 | 調 達 | |
固定資金 | 固定資産取得 固定資金余剰 |
税引前当期純利益 減価償却費 |
運転資金 | 売上債権増加 棚卸資産増加 その他流動資産増加 運転資金余剰 |
仕入債務増加 その他流動負債増加 |
財務資金 | 現預金増加 | 固定資金余剰 運転資金余剰 短期借入金増加 手形割引増加 長期借入金増加 |
注意点
- 運転資金は使途不明になりやすい。
- 法人税の支払が多い会社は決算期末時点で未払分の法人税額に注意する。
- 固定資産取得分について
=今期固定資産-前期固定資産+減価償却費 - 決算流出分について
=前期納税充当金+前期固定資産-今期納税充当金 - 会社の健全性をチェック
・・・運転資金や短期借入分で、固定資産の運用をしてはいけない。 - 運転資金不足は変化しやすいが、その原因は把握しなければならない。
・・・回転期間分析で資金の効率性を測る。
・ 売上債権回転期間 (受取手形+売掛金)×12/売上
(売上債権が増加して運転資金不足の場合、この数値が上がる。)
・仕入債務回転期間 (支払手形+買掛金)×12/売上
・棚卸資産回転期間 棚卸資産÷12×売上
今後の資金調達・運用を計画すること 。
資金移動表とは
資金移動表では、一定期間の資金の入りと出を把握 することができます。ですから、経営安全性をみる(経営収支比率)のに利用されます。
- 経常収入の部分に
資金にとってよいことはプラス だから、、、
現金売上はプラス、 掛売はマイナス - 経常支出の部分
資金にとってよいことはマイナス だから、、、
掛買(仕入債務増加)はマイナス 、
棚卸資産増加はプラス
経常収支比率=経常収入÷経常支出
経常収支比率が100%以下の場合、その理由、一過性なのかどうか調べましょう。黒字倒産は、経常収支比率が100を割ることから起こります。
資金運用表と資金移動表の目的
資金運用表、資金移動表は、資金繰り表とともに利用します。それぞれ、以下の内容が明確になる表です。
- 『資金運用表』
調達資金が、どのように運用されたか? - 『資金移動表(損益計算書)』
企業の支払能力(倒産可能性)を把握しようとするもの
資金の動きは、以下の3つの表と帳票を作成することで容易に把握することができるようになります。
過去の資金繰りを分析する
- 損益計算書・貸借対照表から、資金移動(支払い)がどのように行われたのか分析する
⇒資金移動表 - 損益計算書・貸借対照表から、調達資金がどのように運用されたのか分析する
⇒資金運用表 - 損益計算書・貸借対照表・各帳票から、資金がどのように利用されたのか細かく分析する
⇒資金繰り実績表
将来の資金繰りを予測する
- 帳票、その他情報収集、資金移動表、資金運用表、資金繰り実績表から予測する
これらの表を作成し、資金繰りをスムーズに行うためには、仕組みを整えることが必要になります。
情報収集
帳簿から取れる情報以外で大切な情報は、現場にあることが多いため、現場のリアルタイムな情報をどのようにして経理担当などに伝えるかを考えましょう。
入出金の現状・予定などを現場からとり入れる具体的な日、方法を決めることが必要です。また、販売計画・購買計画についても、詳細にヒアリングしましょう。
資金種類の把握
資金運用表や資金移動表を作成することによって、資金種類の把握が明確にできるようになります。
資金の特徴をふまえて管理(額・返済期間の設定)することによって、資金のバランスを考えることができるようになります。
- 運転資金
会社運営のための日常的に必要な資金
・仕入代金、人件費、その他の経費
・回転の早い資金のこと
・経営が安定していれば運転資金も大きな変動はない
要調達額=売掛債権(売掛金・受取手形)+棚卸資産(商品・仕掛金)-買掛債務(買掛金・支払手形) - 設備資金
設備投資のための資金
・額が大きい
・回収に時間がかかる
新規借入金返金済額<利益+減価償却費+既存借入金返済額
設備の耐用年数にできるだけ近い返済期間で借入計画をたてましょう!
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