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財務サポート > 財務戦略入門(連載第3回) > キャッシュフロー経営の正体とは?

キャッシュフロー経営の正体とは?

  1. キャッシュフロー経営という言葉が一人歩きしている
  2. キャッシュフロー経営の根本とは?
  3. キャッシュフロー経営のテクニックとは?
  4. 安定したキャッシュフローを生み出す方法
  5. 粗利益率を高くして、キャッシュを安定化する
  6. 月次課金でキャッシュを途切れなくする
  7. 組み合わせる、ブレンドする、という発想
  8. キャッシュフローの安定化はビジネスモデルにあり

キャッシュフロー経営という言葉が一人歩きしている

 先日、顧問先での雑談で出てきたのが以下の話である。

「いやあ、先生、今月は売上が立たなくってね〜。当たるとでかいんだけど、当たらないと少額の仕事が多くてね。資金繰り大丈夫?キャッシュフローって言うんだっけ?でも売り上げると売り上げるで、納税が多くなるからね〜。先生に任せてれば、大丈夫だよね。」

「根本的に、安定収入が無いと、資金繰りはいつまで立っても良くなりませんよ。前にどかんとたった売上分は、既に使い果たしています。定期収入が入る仕事を、少額でもいいですから、増やして下さい。ところで、最近の売上の回収ですが、請求はしていますか?」

「あ、忘れていた」

 

また、とある会社に行くと、このような話になる。

 

「オフィスもリフォームをかけましたし、売上も堅調です。当社に足りないのは、会社運営上の諸規定や取り決めですね」

「財務上は問題ないです。利益も出ていますし。ガバナンスは一緒に作りこみましょう。 ところで、今期の売上と営業利益、経常利益は計画通りに推移していいますか?」

「計画を上回る数値が出そうです。営業の拠点を増やしたことで、順調に受注を受けています。やはり、定期的に資金が入る仕事は強いですね。」

 

おわかりだろうか?

これらの会社では、キャッシュフロー経営の根本が語られていることを・・・

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キャッシュフロー経営の根本とは?

キャッシュフロー経営というと、「財務上のテクニック論」が多くなるのですが、実は、キャッシュフローを「良くする」には、商売・ビジネスの土台を作らないといけません。

税理士や会計士が、社長と意見が合わないのは、この観点でしょう。税理士や会計士にとっても、単なる職人・技術者に終わるか、社長のブレーンになれるかの境目です。

その境目とは?

それは、自分で商売をしたことがあるかどうかです。

これは、公開企業の財務・経理をしていたとか、どこかの企業の取締役をしたとか、そんなことでは身に付きません。小さくてもいいから、自分でキャッシュフローを管理して、安定的にキャッシュフローが入ってきて、安心して眠れる状況を作り出すという経験が無いと、「根本」が理解できないのです。

さて、キャッシュフローを安定的に生み出す秘訣は何でしょうか?

あなたが、顧問先に指導する、あるいは「先生、何とか、資金繰りで苦労しないで済む方法はないだろうか?」とアドバイスを求められたときに、話す内容は何でしょうか?

「そんなこと言ったって、営業のことなんてわからないよ。ましては、経営のことなんてわかるはずがないよ。」

こういう発言をするようでは、社長のニーズをつかむことはできません。最近では、税理士=経理・税務のプロ、というより税理士=社長のアドバイザーと役割が変わっています。

アドバイザーですから、経理や税務はできて当たり前。プロジェクトファイナンスなどの難しい財務スキームはわからなくてもいいですが、経営者の携わっている仕事の内容に対して、アドバイザーだからこそ言えることがあるのです。(今では、社長の愚痴を聞いてすっきりさせてあげる、悩み事の相談に乗る、といったメンタルカウンセラー的な役割さえあります。)

それなのに

「経理・仕訳の仕方はこうしなくてはいけません」、「領収書の張り方は、こう決めて下さい」「利益が出たので、節税をしましょう。」だけでは、根本の関わり方になっていません(もちろん、必要ですよ。念のため。)。

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キャッシュフロー経営のテクニックとは?

今回のキャッシュフロー経営ですが、キャッシュフローのテクニックとしては、

  • 「在庫の削減を図って下さい。売れ筋以外のカットをお願いします。」
  • 「債権の回収を早期にお願いします。そうしないと、キャッシュがショートします」
  • 「支払手形と買掛債務の支払は、なるべく遅くにお願いします。」
  • 「急な支払に備えて、キャッシュを多めに持ちましょう」
  • 「設備投資をリースに切り替えると、資金を借り入れなくていいです。」

 

などと対処策はあります。しかし、一歩踏み込めば、こういうアドバイスがありえます。

  • 「在庫を削減するのはもっともですが、現場に単純な指示を与えると、売れ筋から絞り始めます。不稼働在庫こそ、ずっと残り、根本的な解決になりますので、不稼働在庫の償却・安売りを考えてはいかがですか。もちろん、損益計算書上で、利益が出ていて、損失分や粗利益の低下分を回収できることが前提ですが。」
  • 「債権の回収は、回収業務が社内のルーティンワークになっていないことが問題なのです。まずは、社内で債権の請求業務をルーティンワークとして、確立しましょう。一つできれば、他の様々な業務もルーティンワーク化できますので、管理部門や総務部門の生産性が上がります。これから成長するのですから、単純に回収業務を確立する、ということだけではなくて、組織生産性を高め、成長を果たしたときに会社全体のスケールメリットを高め利益率を押し上げましょう。」
  • 「支払は遅くするのが、キャッシュフロー上の大前提ですが、御社の場合、取引先をきちんと確保することが生命線ですので、わざと支払を早めにしましょう。中には、同業で、支払を遅くすることが大事だと考えている企業もあるでしょうが、そうすれば、差別化できますよ。」
  • 「設備投資をリースで行うことは、デメリットもあります。リースは、契約によっては、残債の問題もあります。また、リース料に含まれる金利を考慮しますと、購入形式も考慮したらいかがでしょうか?」

 

と、1歩も2歩も進んだアドバイスをすることができます。

こういう話をすると、

「財務の実務って、そうなんだ。」、「勉強になった」

ということになるのですが、本質は、さらに奥にあります。こういった話はテクニックにすぎません。

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安定したキャッシュフローを生み出す方法

最近では、「寝てても儲かる」という商売方法がインターネットで実現できる、と景気よく宣伝する本が多いです。

そんなの嘘だ!と怒ることは簡単です。しかし、私は、税理士や会計士のように手作業が多い、時間がかかる、という低生産性で、かつ、真面目な業種の方こそ、そういう「寝てても儲かる」の発想を学ぶことが大事だと思っています。

キーワードは、高い粗利益率、月次課金、ポートフォリオ化です。

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粗利益率を高くして、キャッシュを安定化する

高い粗利益率というのは、粗利益率が高いので利益が出る、などということを言いたいのではありません。粗利益を高い形でとることで、結果、各種コストを低く抑えることができ、キャッシュの余裕が出てくるのです。これは、財務モデルの問題なんです。

手法としては、売価を上げることが一番の近道です。売価は単純には上がりませんので、中抜きを進める、お客のニーズをつかむ体制をとるなど、行うことは多いです。

高額な粗利益額を確保するというのも、大事な視点です。粗利益額が高い事業を持つことで、取引がそう多くはないけれども、周期的に入ってくる、ボーナス的なキャッシュを得ることもいざというときの大事な資金戦略です。

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月次課金でキャッシュを途切れなくする

次に月次課金という枠組みを考えましょう。これは、何がいいかというと、毎月、安定的なキャッシュが入ってくるということです。経営者にとって何が安心かというと、キャッシュの安定化がはかれるということです。

源泉徴収制度も、国から見ると毎月の安定的なキャッシュが入ってくるということを意味し、国のキャッシュフロー経営上、非常に大事な施策です。消費税も月次で納税する制度もありますね。



よく「小売業は日銭が入ってくる」といいますが、この場合、月次で入ってくるのではなく、「毎日」入ってくるので、より安定的なキャッシュフロー経営です。

ちなみに、小売業は、仕入れた商品の販売の方が、仕入代金支払より先に来るので、キャッシュフロー上非常に安定的です。

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組み合わせる、ブレンドする、という発想

さて、最後のポートフォリオ化ですが、高い粗利益率と高い粗利益額の商売があっても、それだけでは成り立たないこともあります。また、月次課金できる商売があっても、それだけでは、成り立たない場合もあります。

そのような場合、それらの商売を組み合わせるといいと思います。

たとえば、薄い粗利益率だが安定的なキャッシュフローの商売と、高い粗利益率だが毎月入金されるわけではない商売。

組み合わせる、ブレンドする、という発想。

ポートフォリオというと難しく考える人が出てきますが、株式のポートフォリオのようにややこしく考えることはありません。シンプルに組み合わせて、感覚的につかんでいけばいいです。

マーケティングで、クロスセルという概念があります。これは、商品の売却時に別の商品も併せて勧めます。すると、一定率で購買してくれ、結果、利益率が高まるという考え方です。この考えを商売の組み立てにも応用する、と思って下さい。

ちなみに、このクロスセルは、

  • マクドナルドの「併せてポテトもいかがですか?」
  • アマゾンの「この商品を買った人は、このような商品も買っています」

でおなじみですね。

マクドナルドは、アルバイトの拘束時間があり、その時間あたりの人件費で考えると、もう一品商品が売れるかどうかで、かなり利益率に影響が出ます。



アマゾンでも、物流センターで働いている人の拘束時間は決まっていますので、マクドナルドと同じですね。

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キャッシュフローの安定化はビジネスモデルにあり

以上のように、財務だとか経理だとか、職人だとかいう前に、キャッシュフローを司る人間は、キャッシュフローを安定的に得る、あるいはキャッシュフローを安定化させるために、常にビジネスモデルを研究しなければなりません。

一番いいのは、自分で小さな商売をやってみること。たとえ、失敗しても、なぜ失敗したのか、安定的なキャッシュフローを得ることができなかったのは、なぜなのか。重要な知見が得られますね。

週末起業という言葉があります。これをやると、やらないとでは、本業に対する気づきも出てきます。

そう考えると、サラリーマンは、毎月固定給が保証されていて、安定的なキャッシュフローという面では、良いビジネスモデルなんですよね。

税理士のビジネスモデルも、毎月の顧問料という面から考えるとキャッシュフロー経営上、非常に優れたビジネスモデルです。ヤフーのプレミアム会員も、安価な値段でクレジットカードで引き落としされていると、いつしか引き落とされていることすら忘れ、ヤフー側にとって見ると、安定的なキャッシュフローになっているわけです。

こう考えると、日常的に周りにあるものに、キャッシュフロー経営のヒントがあるのですね。

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