当期未処分利益と利益処分の方法
1.当期未処分利益とは?
利益がどのように処理されるのかを示したものが、「前期繰越利益」と「当期未処分利益」です。
どのくらいの配当を株主に還元し、どのくらいをどういう名目で会社の内部留保に残すのかを決める必要があります。これを「利益処分」といいます。
「利益処分」の決定権は株主にあり、会社は、株主総会の招集通知をする際、利益処分に関する案を提示し、総会で承認を得なければなりません。
株主総会で処分が決定する前の利益が「当期未処分利益」
当期未処分利益=当期利益+前期繰越利益
この当期未処分利益の中から配当金が支払われます。配当金の支払いは、期末だけでなく、会計期間の途中でも行われることがあります。これを「中間配当」といいます。(中間配当を行うには定款による定めが必要です)
中間配当の金額は、当期未処分利益に反映されます。剰余金の配当をする場合には、その配当額の10%を「利益準備金」として積立計上しなければならず、その数字も当期未処分利益に反映されます。
ただし、準備金の積立が資本金の4分の1に達した場合は、それ以上の積立は必要ありません。
中間配当をする場合の当期未処分利益
当期未処分利益=当期利益+前期繰越利益-中間配当金-利益準備金
この当期未処分利益が、株主総会での利益対象額となります。
ワンポイント!
利益の処分について一つの計算書にしたものを「利益処分計算書」といいます。これも財務諸表の一つです。
利益処分の方法
利益処分では、通常、以下の項目に利益が配分されます。
これらの処分項目の合計額を差し引いた残額は、「次期繰越利益」として、次の会計期間の損益計算書に引き継がれます。
株主への配当
- 現金配当‥‥配当を現金で支給する
- 株式配当‥‥株式を新たに発行して、それを株主へ支給する
- 普通配当‥‥基本となる本来の配当
- 特別配当‥‥予想以上に利益が上がったときに、普通配当に上乗せして臨時的に実施する
- 記念配当‥‥会社の節目などに、それを記念し、株主を優遇する意味で、普通配当に上乗せする
取締役と監査役への役員賞与金
配当と同様に、株主総会に提示する利益処分案に記載され、株主総会の承認を得て決定されます。
準備金、積立金
- 利益準備金‥‥現金で配当した金額の10分の1以上を積み立てる
- 任意積立金‥‥株主総会の利益処分議決によって積み立てた留保利益のうち、利益準備金以外の金額
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