雇用調整助成金の目的・対象・支給内容
雇用調整助成金の目的・対象・支給内容
雇用調整助成金の目的
雇用調整助成金とは、景気変動、産業構造の変化、その他経済上の理由によって、事業活動の縮小を余儀なくされた場合に、雇用している労働者を一時的に休業等または出向させる事業主に対して、休業手当や出向にかかる賃金の負担の一部を助成し、労働者の失業の予防、その他雇用の安定を図ることを目的としています。
雇用調整助成金の対象
対象となる事業主
景気変動、産業構造変化その他の経済上理由で事業活動の縮小をせざるえなかったことから、労使協定に基づいて、休業等または出向を行う事業主
対象となる休業
労働者に働く意思と能力があるにもかかわらず、労働できない状態にある労働者を休業させる
NG!ストライキ、有給休暇、疾病等による休暇は対象になりません!
対象となる教育訓練
技能、知識、技術の習得向上を目的とする教育・訓練・講習などで、所定労働日の所定労働時間内に行うもの
NG!就業規則などに基づいて通常行われるもの
職務遂行上必要不可欠なもの
定年退職後の職場や自営のためのもの
対象となる出向
在籍出向、移籍出向のどちらも助成対象となります
1.出向対象労働者の同意を得る
2.出向先での労働条件を明確にする
3.出向元・先で賃金負担を明確にする(どちらかが100%負担する場合は支給対象になりません)
NG!グループ会社間などの出向(配置転換とかわらないため)
雇用調整助成金の支給内容
支給額
- 休業のとき
労働者全体の平均賃金を求め、その額から、基準賃金額を求めます。
大企業は、基準賃金額の2/3
中小企業は、基準賃金額の4/5平均賃金 基準賃金額 ~6200(未満)
~7600
~9200
~11200
~13600
~16500
~20000
~24300
24300以上
3500
4200
5100
6200
7600
9200
11200
13600
15600
- 教育訓練費
大企業の場合、休業時の支給額+1200円/1人1日
中小企業の場合、休業時の支給額+6000円/1人1日 - 出向
大企業の場合、出向賃金負担額の 1/2
中小企業の場合、出向賃金負担額の 2/3
対象期間
休業・教育・・・1~2年
出向・・・3ヶ月~1年(ただし、出向後は出向元に復帰すること)
景気変動、産業構造の変化に伴う経済上の理由、事業の縮小とは
景気変動、産業構造の変化に伴う経済上の理由
雇用調整助成金の支給対象
- 景気変動
- 産業構造の変化
- 地域経済の衰退
- 競合製品・サービスの出現(輸入によるものも含む)
- 消費者物価
- 外国為替等の価格変動
支給対象とならないもの
- 例年繰り返される季節的変動によるもの
- 事故・災害によって施設・設備が被害を受けたものによるもの
- 違法・不法行為による行政処分・司法処分によって、業務停止命令を受けたことによるもの。(事業主の自主的なものも含む)
支給対象となる原因かどうかは、労働局・ハローワークが判定
以下の書類から「休業等または出向を行うに至った具体的理由」が、支給対象に該当するか判断します。
※休業・教育訓練の場合
・休業等実施計画(変更)届け
・雇用調整実施事業所の事業活動および雇用の状況に関する申出書
※出向の場合
・出向実施計画(変更)届け
・雇用調整実施事業所の事業活動および雇用の状況に関する申出書
事業活動の縮小とは?
以下の条件があるとき、「事業活動が縮小した」と判断されます。
一般事業主の場合
- 大企業・・
最近3ヶ月の売上高又は生産量が、直前3ヶ月又は前年同期と比べて5%以上減っていること - 中小企業・・
最近3ヶ月の売上高又は生産量が、直前3ヶ月又は前年同期と比べて減っていること
かつ
前決算等が赤字であること(ただし、5%以上減っている場合には黒字でも可)
労働局・ハローワークが判定
以下の書類から「事業活動が縮小したというが、支給対象に該当するか判断します。
・休業等実施計画(変更)届・出向実施計画(変更)届
・雇用調整実施事業所の事業活動及び雇用の状況に関する申出書
雇用調整助成金の支給対象休業・教育訓練・出向の要件
雇用調整助成金の支給対象休業の要件
すべて満たすこと
- 休業中の賃金(手当)を全部又は一部負担したこと
- 対象期間内の休業であること(初年は年間200日、3年間で300日)
- 労働者単位で1時間後との休業でもOK
- 休業手当が労働基準法第26条「使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当てを支払わなければならない」の規定に違反していないこと
- 労使間の協定による休業であること
- 対象労働者が被保険者である、または、被保険者以外なら雇用期間が6ヶ月以上であること
※休日出勤・時間外労働については、通常は休業日数から差し引きますが
・保全業務、月例検査、定期清掃、たな卸しなど
・休日にしか対応できないもの
・休業計画届提出時に予測できなかったもの
については、差し引かないこともあるので、状況をハローワークに相談するとよいです
雇用調整助成金の支給対象教育訓練の要件
すべて満たすこと
- 対象期間内に行われるものであること
- 所定労働日、所定労働時間内に行われるものであること
- 就業規則などに基づいて通常行われる教育訓練でないこと
- 知識・技能を有する指導員等によって行われるものである
- 事業所内または公共職業能力開発施設に委託して実施するもの
(生産ライン、就労場所での通常の生産活動と区別しておこなわれること) - 労使間の協定による教育訓練であること
※事業所内で行われる教育訓練の場合
・教育訓練内容(カリキュラム)の決定
内容、対象労働者、到達目標を具体的に決めること
・訓練期間の設定
職業上の能力を得られるように、短すぎないこと
・講師・場所の選定
専門的知識を持っている講師、騒音等なく教材・機器がそろっている場所
について注意しましょう。
講師や場所など問題があると思われる場合には、公共職業能力開発施設や職業能力開発サービスセンターなどで個別相談も受けているようです。
雇用調整助成金の支給対象出向の要件
すべて満たすこと
- 対象期間内に開始される
- 出向期間は3ヶ月~1年間で、出向元に復帰する
- 出向後賃金は出向前賃金と同程度である
- 労使間協定があること
- 対象となる出向労働者の同意が必要
- 出向元・先の間で出向契約を締結すること
- ほかの事業所から、雇用調整助成金の支給対象になる出向労働者を受け入れていないこと
- 出向労働者を交換し合うものでないこと
- グループ企業など独立性を認めることができない企業間での出向でないこと(資本・経済・組織的関性を見る)
- 出向先が、その労働者が過去半年~1年の間に解雇された事業主でないこと
出向前の調整事項
・出向契約の締結(出向労働者氏名、職種、賃金(額と負担割合)、労働保険・社会保険(負担割合)、出向期間、勤務地、出向先での労働条件、定期健康診断などについて)
・労働者の同意、労働条件の明示
・出向協定(出向元は労働組合又は労働者の代表と協定を締結しなければならない)
雇用調整助成金における中小企業・大企業とは?
雇用調整助成金における中小企業とは?
中小企業事業主の範囲
- 小売業(飲食店を含む)
資本金5000万円以下または従業員50人以下 - サービス業
資本金5000万円以下または従業員100人以下 - 卸売業
資本金1億円以下または従業員100人以下 - その他の業種
資本金3億円以下または従業員300人以下
※変更することもあるので、届出前にハローワークへ必ず確認することが必要です
大企業とは?
雇用調整助成金における中小企業として定義されたもの以外をさします。
関連ページ(広告が含まれています)