一般労働者派遣事業運営上の注意点
スタッフトラブル・資金繰りリスク
1.人的トラブル ~派遣社員がトラブルにあったら?
派遣ビジネスはクレーム産業とも呼ばれるくらい、人的トラブルが多いのが特徴です。
「派遣元の義務と責任」「派遣先の義務と責任」でも説明しましたが、特に、一般労働者派遣事業は、雇用主と指揮命令者が異なるという関係であるため、トラブルも発生しがちです。派遣元と派遣先との間で、責任があいまいになることにより、さまざまな問題が発生することもあります
トラブルが発生した場合には、派遣スタッフは、派遣元・派遣先の派遣責任者に申し立て、派遣元と派遣先の双方で協力しあって問題の解決をすることになります。
派遣スタッフには、トラブルがあったときの相談窓口を事前に教えておき、トラブルが起きたときは、早めに事実関係を説明させ、事実確認を早急に行うようにしましょう。
行政との関わり(労働局)
労働局は、労働者保護を第一に考えており、特に、許可が必要な一般労働者派遣事業においては、労働者の労働局への駆け込みなどにより、企業は是正勧告に始まり指導・勧告などを受けるおそれもあり、人的トラブルを放置しておくことは非常にリスキーです。
とにかく、早期解決を図れるように、相談窓口、責任の所在、また、スタッフに対しては就業規則などで、トラブル回避できるように事前準備が必要です。
余談ですが、私が関与しているサイト『労働どっとネット』によせられる相談の半数は、派遣社員からの相談です。ここ数年で、派遣トラブルが激増しています。
2.金銭トラブル ~先払い・あと入金のリスク
人材派遣業は、財産的許可要件も2000万円の資産。1500万円の現預金が必要であるように、非常に資金繰りが大変な業種です。売上が上がれば上がるほど、スタッフへ給与は先払いのため、資金繰りの調整が求められます。
無駄遣いをしないことはもちろんですが、月ごとの記帳に始まり、財務分析をすることによってキャッシュが足りなくなる時期を見越して、資金調達・融資について予定をたてなければなりません。また、記帳・財務分析によって、自社の派遣実情が明確になり、次年度の登録採用、営業などの資料になり、経営上もとても役立ちます。
事業開始時と、急激な人員増加時のキャッシュフローは、お金が足りなくなる部分で似ています。事業開始時のキャッシュフローの例を見てみてください。
>>キャッシュフロー・ケーススタディ(事業開始時)
また、最初から賃金を払うつもりのない、悪質な顧客(派遣先)もいます。それでも、派遣元としてはスタッフには給料を払わなければなりませんので、そのことも含めて、優良な顧客を探すようにしましょう。
行政との関わり(税務署)
一般的に、派遣先との契約額の75%前後がスタッフの給料になります。25%の粗利からその他の経費を差し引き、税金を払い、更に、資本金を1000万円にした場合は、初年度から消費税課税対象事業者になりますので、注意が必要です。人件費は消費税が差し引けませんので、消費税分のキャッシュも必要になります。また、従業員の残業は深夜までに及ぶことが多くその残業代もバカになりません。
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