特定労働者派遣事業運営のリスク
1.育成投資額の増加と、賃金負担
特定労働者派遣では、労働者と常用雇用契約を締結しなければならないため、労働者の賃金の負担が常にあります。
派遣労働者が多ければ多いほど、単純に利益が加算されていきますので、順調に派遣できているときはよいのですが、急な契約解除があったり、利益数字にとらわれて、営業受注計画にみあわない大量雇用等を行なってしまうと、スタッフの育成投資額の増加と派遣終了後の賃金負担が膨大にかかってくることになり、捻出した利益がアッという間に消えてしまうことになりかねません。
また、一般労働者派遣同様、急激な派遣社員の増加は、給料支給時にキャッシュ不足がおこり、資金がショートしがちですので、財務状況分析は日ごろから行い、資金調達や融資についての準備も事前にしておかなければなりません。
>>キャッシュフロー・ケーススタディ(事業開始時)
リスクバランスをよく考えた採用計画と、営業計画の適正化を図ることが事業成功の鍵となります。
2.派遣スタッフとのトラブル、労働局からの指導
派遣先でのパワーハラスメント被害が深刻化し、トラブルや問題が表面化すると、派遣元会社が労働局から指導されることにもなりますので、事前の契約内容の確認・徹底と、業務進捗時の労務管理の徹底を行なうことが、経営リスクの回避にとって、非常に重要になってきます。
3.労務管理の重要性
派遣終了後の労働者
派遣が終了し、会社に戻ったら、自分の座る場所が無くて、一気に会社に対する愛情が冷めたなんてことも耳にします。特定労働者派遣では、スキルに対して一人いくら的に決められることも多く、個人尊重の観点が薄れがちにもなります。
派遣労働者と会社は、日常的な関係・関与が少なくなりますので、自社に対する帰属意識と、目的・目標意識を、確実に持たせることが非常に大切になります(意識的に目的意識や帰属意識を持たせるようにしましょう)。
また、特定労働者派遣の期間は、数ヶ月~年単位になることも多いため、安定的な利益をあげてくれるのは、社員であるとの観点を忘れずに対応を図る必要性が高いといえます。
労働力確保・営業機会の確保
契約業務外の強制指示やパワーハラスメント被害は、派遣先(顧客)との立場関係から、表にでにくく、そのストレスを、労働者が全て受けてしまうことになり、派遣社員の離職に至るケースもあります。
労務管理の徹底は、最大の資産である労働者の確保や勤務意欲の向上にも、また営業機会を逃さない事にもつながります。
特定労働者派遣を行なう際は、事業の成功のためにも、普段にもまして労働者とのコミュニケーションを積極的に図り、派遣先の勤務状況の確認や労働者のケアに勤めるよう心がけたいものです。
複数名派遣の場合
派遣先での勤務が1名の場合もあるかと思いますが、多くは数名単位であることが普通です。 グループリーダーには、業務の進捗管理だけでなく、現場営業担当者としての機能を発揮して、増員交渉や計画変更に即応する人事調整や、労務管理上の責任者として、会社と定期的なリレーションを図る、明確な任を与えることが必要となります。
特定派遣事業関連ページ関連ページ(広告が含まれています)